緑花ガイド

ジンチョウゲ

早春に、紫紅色や白色の花が、枝の先に10~20個ほどがかたまって咲き、芳香があります。
 よい香りのある花木の代表的なものの一つで、また、光沢のある葉、特に葉の縁に斑の入る覆輪斑は、観葉植物として一年中観賞することができます。
 花弁のように見えるのは、がくが変化したもので、先端が四つに分かれていて、花びらのように見えます。

ジンチョウゲ
ジンチョウゲ

中国の原産で、現在は庭園や公園に植えられたり、生垣にも使われています。人のよく通る玄関脇や門のまわりに植えれば、芳香を生かすことができます。
 日本には、室町時代に渡来したといわれ、最初は、その根を薬用として利用していました。
 中国名では、瑞香、睡香と呼ばれています。「沈丁花」の名も、よい香りがあるということで、香木の沈香、丁字の香りにたとえたものです。
 雄木と雌木があり、日本には雄木が多いため、実を見ることはあまりありません。

種類 

花の外側が紫紅色で内側が白色の一般種のほか、白色の花のシロバナジンチョウゲ、花の外側が淡紅色で内側が白色のウスイロジンチョウゲなどがあります。また、葉の縁に黄白色の斑があるフクリンジンチョウゲなどの園芸品種もあります。

シロバナジンチョウゲ
シロバナジンチョウゲ
フクリンジンチョウゲ
フクリンジンチョウゲ

植え付け

3~4月に、水はけのよい、強い風や日差しにさらされない場所に植えます。植え穴は、大きく掘り、堆肥や腐葉土をたっぷりすき込みます。排水の悪い場所では高植えにします。粘質土は特に嫌うので、植えつける時は、十分場所を選んでおきます。
 苗のうちはともかく、大きな木を移植すると、たちまち枯れてしまうことがあります。細い根が少なく、根が土になじみにくいからで、2~3年かけて根回しを十分に行い、花どきか梅雨期に移植するなど、注意が必要です。
 半日陰でも育ちますが、花つきは日当たりがあるほうが良くなります。
 耐寒性はそう強くないので、関東地方より北の地方では、露地栽培は、むずかしくなります。

剪定

放任しておいても樹形は整ってくるので、特別な剪定は行いません。一度に強く切ることは避け、4月ころに、ふところ枝や徒長枝などをすかす程度にし、風通しをよくしてやります。強選定は避けます。
 低い形に作りたいときには、花の直後に、昨年枝を切ると新芽が出てきます。
 7月ころに花芽が出来るので、その後は剪定を行いません。

施肥

1~2月は、根元に完熟堆肥を埋め込むか、あるいは敷いて、乾燥を防ぎます。初夏と秋には、化成肥料と油カスを等量に混ぜ込んだものを、根元にまいておきます。

病虫害

虫害には、アブラムシ、アオクサカメムシの被害があります。発生したらすぐに殺虫剤を散布して駆除します。
 排水の悪い所では、白紋羽病になって枯れることがあります。一度枯れた所に、またそのまま植えると、同じ病菌に侵されます。新しい土に入れ替えて、排水を良くして植えなおさなければなりません。

オニシバリ
ジンチョウゲの仲間で別名ナツボウズ、ナニワズ
春先に黄色の小さな花を多数つける
秋遅くから初夏までは葉があるが、夏には落葉して葉がない。