緑花ガイド

プリムラ(マラコイデス、オブコニカ)

プリムラ・マラコイデス

 プリムラ類の中で最も早く開花し、早咲きの品種では11月中旬から咲きます。可憐なやさしい花をつけることから、オトメザクラともいわれています。
 野生種は、中国の雲南省や四川省などに自生する草丈20~50cmに達する多年草ですが、現在園芸店などで売られているものは全て園芸品種です。
 主茎のまわりに多数の花茎が出てきて、各茎に次々と4~5段は着花するので、非常に多花性である上、数ヶ月にわたって咲き続けて楽しませてくれます。
 10℃以下の低温でも凍死することはありませんが、濃色花の品種では色が黒ずむので、最低5℃くらいで育てるのが最良です。花色は、低温ほど濃くなり、高温ほど色あせてきます。
 現在の品種は、葉や茎に白いワックスのある有粉種と、無粉種があります。有粉の品種には、改良ベニザクラ(濃紅色)、フジザクラ(桃色の大輪で、波状弁となり、花柄の節間が短い)、フジオトメ(藤桃色の大輪で、波状弁の中生品種)、フジノユキ(純白色で、八重の早生品種)などがあり、無粉の品種には、桃小町(桃紅色、矮性の早生品種)、緋衣(緋赤色)などがあります。ほとんどの品種は草丈15~20cm、花径2~3cmのものが多く、鉢植えのほか、花壇やプランターなどでも作ることができます。

プリムラ・オブコニカ

 プリムラ類の中では、かなり暑さにも強く、丈夫ですが、寒さにやや弱くなります。和名をシキザキサクラソウともいわれ、その名のごとく花のもちは抜群に長く、管理さえよければ5~6ヵ月くらい咲き続けます。
 野生種は、中国西部からヒマラヤにかけて分布しています。他のプリムラ類は、低温に会わないと花芽ができないのに対して、オブコニカはその必要がないので、夏の涼しい地域では、いつでも播種、開花させることができます。

 園芸品種としては、アップルブロッサム(桃橙色)、アハト(紅色に白覆輪)、アプリコット(橙赤色)、うつりべに(淡桃色から濃桃紅色に変わる)、サーモンローズ(鮮肉桃色の大輪)、ディープレッド(緋赤色)、ディープブルー(濃青色)、ホワイト(白色)などがありますが、国内ではほとんど色名のみで売られており、紅、桃、淡桃、青、白、アンズ色などがあります。草丈は20~30cm、花径5~6㎝くらいの品種がほとんどです。

 オブコニカの葉には、まばらに毛が生えていて、その毛から分泌するプリミンという一種のアルカロイドにより、人によってはかぶれることがあります。水やりや枯花取り、枯葉取りなどで葉に触れる時は、ビニール手袋をするなどの注意が必要です。

鉢植えの管理

 プリムラは本来多年草ですが、暑さに弱いため、夏を上手に過ごすことができれば来年も花を楽しむことができます。
 春の彼岸を過ぎて気温が上がりはじめたら、室内に置いた鉢は、戸外に出し、十分に日に当てます。枯れた葉や咲き終わった茎は、全部切り取り、株を清潔に保ちます。6月以降、夏の間はなるべく通風をよくし、日中は家の北側や、木の下など、日陰になるような場所の高い台の上に置いて、日中はに葉水をかけてやります。暖かくなるにつれて、アブラムシがつく他、土が乾きすぎるとハダニがつきやすくなりますので、薬剤散布だけでなく水やりにも注意します。
 10月からは一日中日光に当てます。秋の彼岸ころに日の当たるところに出し、朝夕の弱い光線から徐々に光線に慣らしていくようにします。秋には、ヨトウムシの害が多くなるので、根元の土をよく見て、見つけ次第捕殺します。

プリムラの種子繁殖

 種子から育てる場合、プリムラにとって苦手な夏が成育の時期に当たるため、遅くても5月ころまでには種子を蒔き、夏までに大苗に仕立てておくと、夏越しが楽になります。
 播種用土は、田土50、腐葉土30、川砂20の割合で混合したものを使い、種子をばら撒きか、すじ蒔きにします。光発芽性なので、覆土はしません。潅水は底面から行い、遮光して冷涼な所で管理します。播種後一ヶ月くらいしてから、本葉2~3枚のころ、2~3cm間隔に移植し、葉が触れ合うようになったら、3号鉢に1本ずつ植え替えます。秋になったら4~5号鉢に植え替えると、約一ヵ月後には開花し始めます。  10月ころから花が咲くまでは、ごく薄い液肥(ハイポネックス1000倍)を潅水がわりに与えます。